スコットランドの巨大な物流センターで働くポルトガル人移民のオーロラ。
スキャナーを片手に通路を歩き回り、注文の商品を取り出すピッカーの仕事を終えると、移民労働者たちのシェアハウスに帰る生活を送っている。
同僚たちとの会話は休憩中のわずかな時間だけで、シェアハウスの住人同士の関係も表面的なものにすぎない。
仕事以外の時間はずっとスマホの画面を眺めているオーロラだったが、ある日、不注意でスマホを壊してしまったことがきっかけで、オーロラの日常は少しずつ変わっていく。
めちゃくちゃしんどかった。
「ラストマイル」がぬるま湯に思えるくらいシビア。
そういえば「ブゴニア」のテディも物流倉庫のピッカーらしき仕事をしていましたね……。
【ネタバレあり!】
オーロラはフルタイムで働いているのにシェアハウスに住まざるを得ないほどの収入しかなく、些細なアクシデントで日々の支払いが滞ってしまう。
スマホの修理代を支払ったことで、住人たちが当番制で払っている電気代の支払いが遅れシェアハウスの電気が止められてしまうシーン、シャワーの途中だったオーロラがバスタオルに包まったまま息をひそめてやりすごそうとする姿に涙が出た。
毎日勤勉に働いているのに生活は不安定で、スマホの修理という些細なアクシデントが発生しただけで簡単に行き詰まってしまう。
シェアハウスの住人のシャンプーや買い置きの食品を盗まざるを得ないような生活はオーロラの心を蝕み、やがて注文品をすり替えるという小さな悪事も働くようになる。
このあたりの描写が、労働して自活するというのは人間の尊厳に直結していて、労働力を買い叩くということは尊厳を買い叩くという行為なんだなということを感じた。